
700×500 1990年制作
第一回多摩市うるおい展入選作品
私がモチーフに木を選ぶことになった、運命の欅です。
東京都日野市に住んでいた私は、世田谷の造型のスタジオに勤めていました。
通勤にオートバイを使っていましたが、転倒し、左腕の神経を引き抜き損傷という事態に見舞われました。病院では脊髄部に近い場所の手術は不可能と言われ、左腕はあきらめるよう言われてしまいました。頭が真っ白になって、右腕1本でどうやって生きていくか途方に暮れました。絵描きなら右腕一つでやっていけるかもしれないと思い、毎日毎日、デッサンを繰り返していました。
家にあった石膏像や生物のデッサンに飽きてきた頃、スケッチブックを持って散歩に出かけました。そしてこの老欅に遭遇しました。道路端に生えていた欅は、電線に架からぬよう毎年、枝を切られていたのですがその先から新たな技がぐんぐん伸びていました。すると、欅から私の胸に強烈なメッセージが伝わってきました。「腕の1本ぐらい何だね、私は毎年枝を全部切られるが、こうして500年生きているぞ。」凄い衝撃でした。木の意思が私の心に語りかけてきたのですから!
何としてもこれは人々に伝えなくては!とその老欅をスケッチしました。この出会いから木、特に老木、古木に出会うとゾクゾクして色々なエネルギーを貰う事ができるようになり、木をモチーフにしていく事になりました。
